絵本深読み会

「林ゆうきと絵本深読み会」


絵本深読み会。それは非常に楽しく、豊かで有意義な時間でありました。


『ぞうのボタン』うえののりこ 作  富山房

『ALDO』ジョン・バーニンガム 作  偕成社

『はっぴぃさん』荒井良二 作  ほるぷ出版


それぞれが選び出した1冊の絵本を、読み聞かせ。そしてその絵本から感じ取ったこと、考えたことを、自由に語り合いました。話すことで自分の考えを確認し、他の人の考えを知り、そしてさらに深めていきます。自分1人では気づけなかったことに気づき、知らなかったことに触れる体験でもありました。


絵本を選ぶときに迷った他の絵本のお話や、ある絵本から関連して思い浮かんだものや、自分の体験や、さまざまな話題が次々に出てきます。会話と思考の広がりを自由に楽しむ時間でした。

本棚の絵本を片っ端から深読みして語り合いたい気持ちになりました。


以下、今日取り上げた絵本について話したこと、考えたこと。


『ぞうのボタン』うえののりこ作  冨山房刊

・他人から見た自己と本当の自己

・1人の中のいろいろな自分

・自分をみつめる目の空虚あるいは闇

・全てを含むということ

・回って元に戻るお話の意味

・文字のない絵本のこと


『ALDO』ジョン・バーニンガム作  ほるぷ出版刊

・アルドとはなにか

・孤独から生まれる強さ

・自分を投影するもう1人の自分

・人にとって必要な存在

・幼い頃に頼っていたものについて

・超常現象、空想の産物、ともだち。その境界。

・アルドがいれば大丈夫、とは、つまり、自分は、辛いことがあっても大丈夫だという基本的な自信である。

・自己肯定感


『はっぴぃさん』荒井良二作  偕成社刊

・自分と、他者を認めること

・自己と相手、最小のコミュニティでの相互の尊重が、世界の平和へつながる道であること

・自分を否定せざるを得ない世界に戦争が起こっていること

・生命の多様性について

・たくさんの人、いろいろな考えを受け入れあい認め合うことの大切さ。

・誰もが、存在を否定されない世界への希望

・はっぴぃさんとはなにか

・願い事とは、なにか


絵本を深く読んでいくこと、そして、それを人と分かち合う体験からは、不思議と共通したテーマが浮かびあがってきます。いろいろな人が存在することを受け入れ共に生きようとすること。それは、人にとって大切なものであり、今の自分にとってのテーマともいえるのでしょう。


このように、読んで語り合う場を増やしたい、こどもたちにも、このような体験を、そして絵本と出会う方法を、伝えたい、という林ゆうきさんの思いに、強く共感します。みちのそらでできること、楽しいことを、これからも考えていきたいと思いました。